わたしがもし消えてしまうのだとしたらこの世界の存在は成り立たなくなるのだろうか。わたしという存在が消えることにより、わたしからの視点による存在は全てわたしの中から消えてしまう。それはこの世界の消滅を意味するのか、否か。わたしが見ているこの視点を世界だと言うならば、今地球の裏側で死にかけている子供が見ているものは何なのか。それもまた世界だというなら、世界は幾つも存在するのだろうか。地球と言う固体は一つでしかありえない。けれど、わたしの視点による存在が世界で、それがわたしの視点があって初めて成り立つ物だとしたらそれは地球が丸いと言うことを意味しない。それともわたしの視点から見えるこれは世界ではないのだとしたら、一体わたしが見ているこれは何だというのか。もしもこれが世界だと言うのなら、わたしが消えてしまえば世界は消滅してしまう。もしもこれが世界では無いと言うのなら、世界など何処にも存在しない事になる。世界という不確かなものの上にわたしたちは今立って呼吸をして運動をして朽ちている。そんなわたしたちも、世界と同じく、不確かなものであると言えよう。