子供には好奇心が大切だとわたしは思う。だが其れが本当に必要な物であるかどうかは分からないが。その上での話だ。



あれが欲しいこれが欲しいと言えばお金が必要になる。だが世の中には全て欲しいものを確実に手に入れられる財力のある人間などほんの僅かだ。殆どはそれを夢見ただけで終わる。けれどどうだ。好奇心だけならお金は要らない。夢を見るだけならタダだ。誰が悪いことと咎めるだろうか。もしも其れが法律で禁止されていたとしても、自分の心の中の言わば妄想なのだから、表面さえ取り繕えば誰にもバレやしないのだ。自分だけの世界を持つことが、どれほど幸せなことか。それを私たちは簡単に手に入れることができる。

好奇心の無い子供は夢を見ない。現実という泥に飲み込まれて、足を捕らわれ、全身が泥に浸かり、最後には泥と同化してしまう。わたしはそんな子供が大量生産されてしまう世界を見ているのが辛い。だからわたしは子供に好奇心は大切だと教えるのだ。けれどそんな私もまだ子供。大人の世界なんて知らないし、事情も知らない。もしかしたらわたしが知らないだけで本当に夢を見てはいけない大人だけのしきたりがあるのかもしれないし、好奇心を自分の心の中だけにしまっておくことが不可能で、他人に漏れてしまうのかもしれない。だが、少なくとも、私たち子供の間に其れは無いのだ。恐らく、人権が保障されている限り、私たちの中の世界は自由である。